Closed Listを10日間試したら、「仕事が終わらない」理由が見えてきた|Experiment #001
仕事を時間内に終わらせたい。
そのためにPRE-EXPERIMENTでは、まず10日間、自分が何にどれくらい時間を使っているのかを記録しました。
その結果、「仕事が終わらない」原因として、5つの可能性が見えてきました。
- スケジュールの設計
- 優先順位の判断
- 作業スピード
- 仕事の持ち方・切り替え
- 業務量
PRE-EXPERIMENTで行った10日間の記録と分析は、こちらの記事にまとめています。
→ なぜ仕事は時間内に終わらない?10日間の記録から原因を探る
今回から、この5つの原因を一つずつ掘り下げていきます。
Project #01のテーマは、
仕事を時間内に終えるためには、どのようにスケジュールを設計すればよいのか?
最初の実験では、Closed ListとFirst Taskを10日間試しました。
今回試すこと
今回試したのは、
今日やる仕事の範囲を決める「Closed List」と、先送りしやすい仕事を最初に実行する「First Task」
です。
参考にしたのは、マーク・フォースター著『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』です。
Closed Listとは?
Closed Listでは、朝に「今日やる仕事」のリストを作ったら、そこでリストを閉じます。
その後に新しい仕事が発生しても、無条件には追加しません。
もちろん、急な依頼やトラブルなど、どうしても今日対応する必要がある仕事もあります。
その場合は、新しい仕事をリストに追加する代わりに、同程度の仕事をリストから外して翌日以降へ回します。
つまり、
仕事が増えたらリストも増やすのではなく、1日に扱う仕事量の上限を決める。
これが、今回試したClosed Listの基本的な考え方です。
First Taskとは?
もう一つ試したのがFirst Taskです。
本書では、絶対に必要でありながら先送りしやすい仕事を、気分に任せず最初に実行するというルールが紹介されています。
今回の実験ではこれを自分の仕事に合わせ、前日から繰り越した重要な仕事をFIRST TASKとして設定しました。
さらに、実験を行ううえで独自にSECOND TASKも設定しました。
こちらは、中長期的に重要な仕事を進めるための枠です。
なぜこの方法を選んだのか?
これまでの私は、その日に「やるべき仕事」をリストにして予定を立てていました。
ただ、タスクにかかる時間の見積もりが甘く、結果として1日で処理するには過剰なリストになっていることがありました。
さらに、私は仕事を翌日へ回すことにも抵抗がありました。
「今日できるなら、今日やっておきたい」
「今日やると決めたのだから、終わらせたい」
そう考えて、予定が膨らんでも元々の仕事をできるだけ終わらせようとしていました。
Closed Listでは、各タスクに予想時間を設定します。
すると、
今日使える時間に対して、どれだけ仕事を入れようとしているのか。
その中で、何を優先しているのか。
が見えるようになります。
「なんとなく仕事を残す」のではなく、限られた時間の中で何を優先するかを決めた結果として、ほかの仕事を翌日へ回す。
それなら、タスクを後ろ倒しにすることへの抵抗感も減らせるのではないかと考えました。
今回の仮説
今回の仮説は、
Closed Listで1日の仕事量に上限を設け、First Taskで先送りしやすい仕事を先に実行すれば、仕事量をコントロールしながら必要な仕事を進めやすくなり、仕事を時間内に終えやすくなるのではないか?
です。
ただし、「残業が減ったか」だけでは判断しません。
そこで、
- Capacityに対する予定時間・実績時間
- タスクごとの予想時間と実績時間
- 繰り越したタスク
- FIRST / SECOND TASKの実行
- 突発業務への対応
- 仕事が進んだ感覚
- 成果につながる仕事を進められたか
も記録しました。
実験方法
実験期間は10日間です。
毎朝、その日の仕事に使える時間をCapacityとして設定しました。
次に会議などの固定予定を入れ、各タスクに「この仕事には何分かかると思うか」という予想時間を設定して、Closed Listを作りました。
タスクは主に、
FIRST TASK
前日から繰り越した重要な仕事
SECOND TASK
中長期的に重要で、その日に進めたい仕事
NORMAL TASK
そのほかの予定している仕事
に分けました。
予定外の仕事が発生した場合は必要性を判断し、今日対応する場合は別の仕事をWaitingへ移せるようにしました。
仕事が終わったら、それぞれのタスクに実績時間を記録します。
実際に使ったClosed List
実際の管理表にはもう少し項目がありますが、簡略化すると次のような形です。
| タスク | 予想時間 | 種類 | 実績時間 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| タスクA | 60分 | FIRST | 75分 | 完了 |
| タスクB | 90分 | SECOND | 80分 | 完了 |
| タスクC | 60分 | NORMAL | - | 翌日へ |
| タスクD | 30分 | NORMAL | 30分 | 完了 |
Closed Listを試してみたい方へ
今回の実験で使ったClosed Listをもとに、気軽に試せる簡易版を作りました。
タスクごとに予想時間を入れると、「今日やるべき仕事」が本当に1日のCapacityに収まるのか確認できます。
※Excel形式(.xlsx)。自由にコピー・編集してお使いください。
10日間の結果
まず、10日間のCapacity、当初予定時間、実績時間を比較します。
| 10日間合計 | |
|---|---|
| Capacity | 4,200分 |
| 当初予定 | 4,530分 |
| 実績 | 5,032分 |
| 当初予定 − Capacity | +330分 |
| 実績 − 当初予定 | +502分 |
実績時間は、Capacityを合計832分上回りました。
この結果だけを見れば、「Closed Listを使えば仕事が時間内に終わる」とは言えません。
ただ、今回の実験で大きかったのは別のところでした。
なぜ仕事が時間内に終わらないのかが、PRE-EXPERIMENTのときより具体的に見えるようになったことです。
わかったこと① 「今日やるべき仕事」と「今日できる仕事」は違う
今回、一番大きかった気づきです。
これまでの私は、「今日やるべき仕事」を先に決め、それを1日の予定に入れていました。
ただ、実際にはタスクごとに必要な時間があります。
その時間を正しく見ないまま予定を立てると、下の図のBeforeのように、本来はCapacityに入りきらない仕事まで、無理に詰め込むことになります。

Closed Listでは、各タスクに予想時間を設定しました。
すると、「この仕事を今日やるべきか?」だけではなく、
今日使える時間に、この仕事まで入るのか?
と考えられるようになりました。
実際、10日間のCapacityは合計4,200分だったのに対し、仕事を始める時点での予定は4,530分でした。
つまり、突発業務が入る以前に、最初からCapacityを超える予定を立てていたことになります。
Closed Listを使ったことで、
「今日やるべき仕事」と「今日できる仕事」は同じではない。
ということが見えるようになりました。
そして、何を優先して今日処理して、何を翌日に回すのかを時間で判断できるようになると、仕事を翌日に回すことへの抵抗感も以前より小さくなりました。
わかったこと② 予想時間そのものにもズレがあった
ただし、Capacityを意識するだけでは十分ではありませんでした。
例えば「60分」と予想した仕事が、実際には90分かかれば、予定は崩れます。
今回、各タスクについて予想時間と実績時間を記録したことで、自分の時間予測にも癖があることが分かりました。
実際、10日間のタスクを暫定的にカテゴリー分けして集計した結果は次の通りです。
| カテゴリー | 件数 | 予想時間 | 実績時間 | 実績÷予想 |
|---|---|---|---|---|
| 考察 | 19 | 1,200分 | 1,459分 | 1.22 |
| マネジメント | 10 | 365分 | 375分 | 1.03 |
| 資料作成 | 13 | 545分 | 555分 | 1.02 |
| メール | 12 | 570分 | 575分 | 1.01 |
| その他 | 17 | 510分 | 538分 | 1.05 |
| 会議 | 17 | 945分 | 890分 | 0.94 |
| 実験 | 11 | 705分 | 640分 | 0.91 |
※実験途中で記録方法を変更したため、一部のタスクは実験終了後に仕事内容から暫定的に分類しています。
特に目立ったのが「考察」です。
予想時間1,200分に対して、実績は1,459分。
予想の約1.22倍の時間がかかっていました。
一方、メールや資料作成、会議などは比較的予想に近い結果でした。
これまでは、
「自分は仕事時間の見積もりが苦手なのかもしれない」
と漠然と考えていました。
でも、今回の結果を見ると、
すべての仕事の見積もりが苦手なのではなく、仕事の種類によって予想精度が違うのではないか?
という新しい疑問が出てきました。
これは、次の実験につながる重要な発見でした。
わかったこと③ First Taskは予想以上に効果を発揮した
First Taskについても、予想していなかった発見がありました。
それは、
自分が想像以上に「気分」で次にやる仕事を選んでいたことです。
重要だと分かっていても、考える必要がある仕事や取り掛かるハードルが高い仕事は後回しにする。
一方で、メールや短時間で終わる仕事には手をつけやすい。
重要度を理解していても、実際にその仕事を選ぶとは限りませんでした。
First Taskでは、
これは最初にやる仕事。
とあらかじめ決めています。
やっていること自体は、とても単純です。
しかし、これが予想以上に効果を発揮しました。
「何から始めよう」と考える前にやる仕事が決まっているため、そのときの気分に左右されず、取り掛かるハードルの高い仕事にも着手できました。
今回の実験で、
仕事の重要度を理解していることと、実際にその仕事を選べることは別だった。
ことに気づきました。
Second Taskで「重要だけれど急がない仕事」を確保する
一方、今回のFirst Taskの使い方には弱点もありました。
私は前日から繰り越した重要な仕事をFIRST TASKに設定しました。
そのため、どうしても緊急度の高い仕事に偏りやすくなります。
それだけでは、
「重要だけれど、今日やらなくてもすぐには困らない仕事」
が再び後回しになってしまいます。
そこで独自に設定したのがSECOND TASKです。
中長期的に重要な仕事をあらかじめSECOND TASKとして決め、その仕事に使う時間を事前に確保しました。
FIRST TASKでは、前日から残った仕事を進める。
SECOND TASKでは、重要だけれど緊急度の低い仕事を進める。
この2つを組み合わせることで、目の前の仕事だけに偏らず、緊急度と重要度のバランスを取りながら仕事を進めやすくなりました。
PRE-EXPERIMENTより「仕事が終わらない」を細かく分解できた
PRE-EXPERIMENTでは、「仕事が終わらない」原因として、スケジュール設計や優先順位、作業スピードなど5つの可能性が見えてきました。
今回のExperiment #001では、その中の「スケジュール設計」をさらに掘り下げることができました。
すると、
- 最初からCapacity以上の仕事を予定している
- 仕事を始めてから突発業務が追加される
- 仕事によって予想時間の精度が違う
- 予定が崩れても、最初に決めた仕事をできるだけ全部終わらせようとする
という、さらに具体的な原因が見えてきました。
以前なら、これらをまとめて、
「今日も仕事が多かった」
「突発業務があったから仕方ない」
と考えていたと思います。
Closed Listを使って予定と実績を記録したことで、どの段階で仕事量が膨らんでいるのかを分けて考えられるようになりました。
できたこと/できなかったこと
「仕事が終わらない」の中身が見えるようになった
今回、Closed Listを使って最も良かったのは、仕事が急に減ったことではありません。
まず、タスクに予想時間を設定することで、
今日やろうとしている仕事は、そもそもCapacityに入るのか?
を考えられるようになりました。
その結果、無理な予定を作っていること自体に気づけるようになった。
さらに、予想時間と実績時間を記録したことで、仕事の種類によって予想精度が違うことも見えてきました。
そしてFIRST / SECOND TASKによって、気分や緊急度だけに流されず、重要な仕事を進める仕組みも作れました。
PRE-EXPERIMENTでは「仕事が終わらない原因の候補」が見えました。
Experiment #001では、そこからさらに一歩進んで、スケジュールがどこで無理になっているのかを具体的に見ることができました。
予定と現実のズレはまだ残っている
一方、今回の10日間だけで、仕事を時間内に終えられるようになったわけではありません。
実績時間は5,032分。Capacityの4,200分を832分上回りました。
Closed Listによって、1日の仕事量を意識できるようにはなりました。
しかし、
予想時間そのものがずれる。
仕事を始めてから予定外の仕事が入る。
という問題は残っています。
つまり、
「Capacityに入るように予定を作る」だけでは、まだ足りない。
ということです。
次の実験へ
今回の実験で、次に改善したいことも見えてきました。
一つ目は、予定時間の精度を上げること。
10日間で蓄積した予想時間と実績時間を見ると、仕事の種類によってズレ方が違いました。
ならば、過去の実績を次の時間予測に反映すれば、より現実に近い予定を作れるかもしれません。
二つ目は、予定した時間を意識しながら仕事を進めること。
予想時間を設定するだけでなく、「この仕事にはここまで時間を使う」という境界を実行中にも意識できれば、予定以上に仕事が膨らむことを防げるかもしれません。
三つ目は、予定が崩れたときの対応を事前に決めておくこと。
急な相談やトラブルはなくせません。
だからこそ、それが起きたときに「何を続け、何を翌日に回すのか」をその場の判断だけに任せない方法を試してみたいと思います。
Closed Listによって、予定と現実のズレが見えるようになりました。
次のExperimentでは、
そのズレを小さくすることはできるのか?
を試してみます。
今回参考にした本
『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』マーク・フォースター
今回のExperiment #001では、本書で紹介されている考え方の中から、主にClosed ListとFirst Taskを参考にしました。
本書では、次々と入ってくる仕事に反応し続けるのではなく、仕事に境界を作るための考え方が紹介されています。
ただし、今回の実験は本書の方法をそのまま再現したものではありません。
特に、
- 前日から繰り越した重要な仕事をFIRST TASKに設定
- 中長期的に重要な仕事をSECOND TASKとして追加
- Capacityや予想時間・実績時間を記録
などは、自分の仕事に合わせて変更・追加しています。
そのため、この記事は本書の方法そのものを評価するものではなく、
本から得た方法を、自分の仕事に合わせて10日間試したらどうなったか
というDaquo Labの実験記録です。

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