仕事は最初の2割で8割進める|『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』のロケットスタート時間術
仕事が終わらない。締め切りに追われる。残業が当たり前になっている。
私は、長い間このような悩みを抱えてきました。
どうすれば仕事を締め切りまでに終えられるのか。
その答えを探して読んだのが、中島聡著『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』です。
本書で紹介されているのが、締め切りまでの期間の最初の2割で、仕事を8割まで進める「ロケットスタート時間術」です。
例えば、締め切りまで10日あるなら、最初の2日間で仕事の大部分を進めます。残りの8日間は、仕上げや修正、想定外の問題への対応に使います。
仕事を最後に追い込むのではなく、最初に一気に進めて余裕をつくる方法です。
この記事では、本書から実際の仕事に使いたいと考えた次の3つを記録します。
- 難しい仕事ほど、早く着手して必要時間を見極める
- 締め切りまでの最初の2割で、仕事を8割まで進める
- 長期・並行業務では、仕事を小さな単位に分けて応用する
この本を読んだ理由
以前の私は、仕事を締め切りまでに終えるために、目の前のタスクをできるだけ速く処理しようとしていました。
メールを返信する。資料を修正する。依頼された細かな仕事を片づける。
それぞれの仕事は必要ですし、完了すれば仕事を進めた実感も得られます。
しかし、細かな仕事をいくつ終わらせても、本当に進めるべき仕事が後回しになっていれば、締め切りに追われる状況は変わりません。
特に問題になるのが、難しくて重要な仕事です。
簡単な仕事は、完了までに必要な時間を比較的予測できます。一方、新しい企画や研究開発、前例のない資料作成などは、実際に手を動かしてみなければ難易度が分かりません。
それにもかかわらず、取りかかりやすい仕事から先に進め、難しい仕事を後回しにしてしまう。
これが、仕事が締め切りまでに終わらない原因の一つではないか。本書を読んで、そう考えるようになりました。
この本から実際に使いたい3つのこと
1.難しい仕事ほど、早く着手して必要時間を見極める
本書では、仕事が終わらない理由の一つとして、重要な仕事に必要な時間を正しく見積もれていないことが挙げられています。
重要な仕事ほど難易度が高く、必要な時間も予測しにくいからです。
本書では、これを数学のテストにたとえて説明しています。
数学のテストには、短時間で解ける計算問題と、考える時間が必要な応用問題があります。
簡単な計算問題から順番に解けば、答案は埋まっていきます。しかし、得点への影響が大きい応用問題を最後まで残すと、解く時間が足りなくなる可能性があります。
仕事も同じです。
メールへの返信や定型作業など、短時間で終わる仕事を先に進めれば、処理したタスクの数は増えます。
一方、企画、新製品開発、重要な資料作成など、成果への影響が大きい仕事は後回しになります。
しかも、難しい仕事は、着手するまで次のことが分かりません。
- どこが難しいのか
- 必要な情報がそろっているか
- 誰かの協力が必要か
- 想定した方法で進められるか
- 締め切りまでに完了できるか
着手が遅れるほど、問題の発見も遅くなります。
そして、締め切り直前になって初めて「想定より難しい」「必要な情報が足りない」「ほかの人への依頼が必要だった」と気づきます。
難しい仕事ほど正確な見積もりが必要ですが、難しい仕事ほど着手前の見積もりは不正確になります。
だからこそ、時間をかけて計画を練るだけでなく、早い段階で一度手を動かす必要があります。
早く着手する目的は、単に仕事を前倒しすることではありません。
実際の難易度を知り、残りの期間で完了できるかを判断することです。
重要な仕事を後回ししないために優先度を決定する技術として『3の法則』が他の書籍で紹介されています。そちらの要約記事もご参考ください。

2.最初の2割の期間で、仕事を8割まで進める
重要な仕事を早く始めるために、本書で紹介されているのが「ロケットスタート時間術」です。
基本的な考え方は、締め切りまでの期間の最初の2割を全力期間とし、その間に仕事を8割まで進めることです。
例えば、10日後が締め切りの仕事なら、最初の2日間で8割の完成を目指します。
最初の2日間で仕事の中心部分をつくる
仕事を依頼されたら、できるだけ早く着手します。
最初から細部まで完成させる必要はありません。
まずは仕事の中心となる部分を形にします。
資料作成なら、構成を決めて主要な内容を入れる。企画なら、仮説と全体像をつくる。研究開発なら、最も不確実な条件から確認する。
この段階で重要なのは、完成度を上げることよりも、仕事全体を一度前に進めることです。
早い段階で形にすることで、想定どおり進められるのか、何が足りないのか、どこに時間がかかるのかが見えてきます。
進捗から計画を見直す
本書では、最初の2割の期間が終わった時点で、仕事の進捗を確認します。
8割程度まで進んでいれば、残りの期間で完成できる可能性が高いと判断できます。
一方、想定より進んでいなければ、当初の見積もりが甘かった可能性があります。
その場合は、締め切り直前まで抱え込まず、早い段階で次の対応を検討できます。
- 進め方を変更する
- 作業範囲を見直す
- 必要な協力を依頼する
- 優先順位を調整する
- 締め切りについて相談する
締め切りの直前になって「間に合いません」と伝えるよりも、早い段階で問題を共有したほうが、周囲も対応しやすくなります。
ロケットスタート時間術の価値は、仕事を速く終わらせることだけではありません。
仕事の難易度と計画のズレを、修正可能な段階で発見できることにもあります。
残りの8割を余裕として使う
最初の2割で仕事の中心部分ができたら、残りの期間で仕上げます。
この期間は、単に仕事をゆっくり進めるための時間ではありません。
- 内容を見直す
- 周囲から意見をもらう
- 精度を上げる
- 想定外のトラブルに対応する
- ほかの業務と調整する
こうした作業に使える余白です。
仕事を早く進める目的は、さらに多くの仕事を詰め込むことではなく、締め切りまでの余裕を確保することだと考えています。
余裕があれば、問題が起きても対応できます。焦らずに見直すことで、仕事の完成度も高められます。
最初に余裕を使い切り、最後に追い込む「ラストスパート」ではなく、最初に進めて、最後に余裕を残す。
これがロケットスタート時間術の基本的な考え方です。
なお、ロケットスタート時間術以外にも締め切りに間に合うように仕事が始められる方法として、『開始デッドライン』を設定することを他の書籍で紹介されています。こちらも御参考いただければ、より仕事に着手する確度が高くなります。

3.仕事の期間や一日を小さく区切って応用する
締め切りまでの最初の2割で仕事を8割まで進める方法は、一つの仕事に集中できる場合には使いやすいと思います。
しかし、実際の職場では、複数の仕事を並行して進めることもあれば、数か月から一年にわたるプロジェクトを担当することもあります。
本書では、そのような仕事への応用方法も紹介されています。
長期プロジェクトは、短い期間に分ける
長期プロジェクトで、一年分の仕事を最初の2割の期間に進めるのは現実的ではありません。
その場合は、プロジェクトをいくつかの段階に分けます。
例えば、長期の開発プロジェクトなら、次のように区切れます。
- 情報収集と仮説設定
- 試作品の作製
- 評価と条件の修正
- 最終検証
- 報告資料の作成
さらに、それぞれを10日から2週間程度で進められる仕事に分けます。
そして、小さく区切った仕事ごとに、最初の2割で中心部分を進めます。
長期プロジェクト全体を一度に管理するのではなく、短い締め切りを設定し、小さなロケットスタートを繰り返す方法です。
この考え方なら、途中で計画と実態がずれても、早い段階で修正できます。
並行業務は、一日を時間帯で分ける
複数の重要な仕事を並行して進める場合は、一日を仕事ごとの時間帯に分けます。
例えば、午前中は一つ目の仕事、午後は二つ目の仕事に使います。
そして、それぞれの時間帯の最初に、最も難しい部分や不確実性の高い部分へ着手します。
ただし、一日に多くの重要業務を詰め込みすぎると、一つの仕事に使える時間が短くなり、頻繁な切り替えも発生します。
仕事を分ければ必ず進められるわけではありません。
並行して進める仕事そのものを減らせないか、あわせて考える必要があります。
当時、ブログ執筆で試してみたこと
この本を読んだ当時、私はロケットスタート時間術をブログ執筆に取り入れました。
それまでのブログ執筆には明確な締め切りを設けておらず、時間があるときに少しずつ書いていました。
その結果、記事の完成時期が決まらず、投稿頻度も安定していませんでした。
そこで、一週間で一記事を書くことを目標に、次のように進めました。
- 土曜日に記事のテーマに関する情報を集める
- 日曜日に構成を決め、本文を8割程度まで書く
- 月曜日から金曜日に追記・修正し、公開する
まとまった時間を確保しやすい休日に、記事の中心部分を先に作る方法です。
先に構成と本文ができていれば、平日は通勤時間などを使って、文章の確認や小さな修正を進められます。
また、「今週中に公開する」と決めたことで、次に何をすればよいかも明確になりました。
一方で、当時は執筆時間や完成までの日数、記事の質などを継続的に記録していません。
そのため、この方法で生産性がどの程度向上したのかまでは判断できません。
ここでいえるのは、最初に記事の大部分を作ることで、締め切りのない個人作業でも、完成までの道筋をつくりやすくなったということです。
今の自分から見た、ロケットスタート時間術の使いどころ
現在の仕事にそのまま当てはめると、「最初の2割で8割」という基準が合わない仕事もあります。
研究開発のように、試してみなければ次の方針が決まらない仕事では、最初の2割で完成形の8割を作ることは困難です。
ほかの人の判断や作業を待つ仕事、途中で条件が変わる仕事、突発対応の多い仕事でも、同じ比率で進められるとは限りません。
そのため、2割と8割という数値を、すべての仕事で守るべき絶対的なルールとは考えていません。
私が実際に使いたいのは、その背景にある次の考え方です。
- 難しい仕事ほど先に着手する
- 最初に仕事の全体像を形にする
- 不確実な部分を早い段階で確認する
- 計画とのズレを早く発見する
- 締め切り直前ではなく、修正できる段階で相談する
- 最後に仕上げとトラブル対応の余裕を残す
特に重要なのは、「早く完成させること」よりも、「早く見通しを得ること」だと思います。
また、予定より早く仕事が進んだ場合も、完成報告を意図的に遅らせる必要はないと考えています。
早くできた仕事は適切なタイミングで共有し、残った時間を見直しや改善、次の準備に使う。そのうえで、新しい仕事を際限なく引き受けないよう、業務量を調整するほうが現在の自分には合っています。
この方法を含め、「仕事が時間内に終わらない原因」を確かめるために、実際の業務時間を10日間記録しました。記録から見えてきた課題は、なぜ仕事は時間内に終わらない?10日間の記録から原因を探る|PRE-EXPERIMENT #01にまとめています。
First Taskとのつながり
ロケットスタート時間術は、締め切りまでの期間全体を対象にした方法です。
一方、Daquo Lab.で試しているFirst Taskは、一日の最初に重要な仕事へ着手する方法です。
対象とする期間は異なりますが、根底にある考え方は共通しています。
難しくて重要な仕事を後回しにせず、余裕のある最初の時間に進める。
ロケットスタート時間術を、一日の仕事へ小さく応用したものがFirst Taskだと捉えることもできます。
実際の業務でFirst Taskを試した記録については、次の記事にまとめています。
【First TaskのExperiment記事(実験中)】
まとめ
『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』から、実際の仕事に使いたいと考えたのは次の3つです。
- 難しい仕事ほど、早く着手して必要時間を見極める
- 締め切りまでの最初の2割で、仕事を8割まで進める
- 長期・並行業務では、仕事を小さな単位に分けて応用する
仕事が締め切りまでに終わらない原因は、単に作業スピードが遅いからとは限りません。
難しくて重要な仕事を後回しにし、実際の難易度が分からないまま時間を使っていることにも原因があります。
だからこそ、重要な仕事には早く着手する。
最初に仕事の中心部分を形にし、残りの期間に余裕を残す。
「最後に頑張る」のではなく、「最初に進めておく」。
ロケットスタート時間術は、仕事に追われないための時間の使い方を考えるうえで、参考になる方法でした。
この記事で紹介した内容は、本書から得られる学びの一部です。気になった方は、ぜひご自身の仕事や生活と照らし合わせながら読んでみてください。
本書では、重要な仕事への着手が遅れることや、必要時間の見積もりが甘いことが、仕事が終わらない原因として挙げられています。では、私自身の仕事が終わらない原因も同じなのでしょうか。実際の働き方を10日間記録して調べました。


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