早く帰るには、仕事を速くするより「やらない仕事」を決める|『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』に学ぶ働き方
仕事を効率化する方法を探していると、つい「同じ時間で、もっと多くの仕事をこなす方法」に目が向きます。
しかし、仕事を速く処理できるようになっても、その分だけ新しい仕事が増えてしまえば、働く時間は短くなりません。
必要なのは、目の前の仕事を速くこなすことではなく、限られた時間を何に使い、何には使わないのかを決めることではないでしょうか。
そのヒントを得るために読んだのが、針貝有佳著『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』です。
本書を読んで特に印象に残ったのは、デンマークの働き方を支えているのが、単なる時短テクニックではないことでした。
仕事より先に人生の優先順位を決め、その時間を守るために、仕事の進め方や職場の仕組みを変えていく。
本書で紹介されている働き方から、私が自分の仕事に取り入れたいと感じたのは、次の3つです。
- 仕事の予定より先に、人生で大切にしたい時間を決める
- ミスの影響に応じて、確認方法を変える
- 会議を25分・50分にして、終了時刻を意識する
この記事では、本書全体を網羅的に要約するのではなく、会社員として働く私が「自分の仕事で使えるかもしれない」と感じた部分に絞って整理します。
この本を読んだ理由
私は、仕事を時間内に終わらせる方法を探しています。
そのため、これまでにもタスクの優先順位や仕事への着手方法、会議の進め方など、さまざまな仕事術を本から学んできました。
しかし、個人が仕事を速く処理するだけでは、残業を根本的に減らせない場合があります。
不要な確認、目的の曖昧な会議、断りにくい依頼など、仕事の進め方や職場の仕組みに原因が残っているからです。
そこで読んだのが、針貝有佳著『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』です。
本書では、デンマーク在住の著者が、現地の暮らしや職場で見てきた働き方を紹介しています。
タイトルには「4時に帰る」とありますが、単に早く退社するためのテクニックを解説した本ではありません。
限られた時間で成果を出すために、
- 人生で何を大切にするのか
- どの仕事を減らすのか
- どこまで確認するのか
- 会議に誰を呼び、何分使うのか
といった、仕事の前提そのものを見直す内容です。
個人の処理速度を上げるだけでなく、働く時間や仕事の仕組みから考え直したいと思い、本書を読みました。
本書から取り入れたい3つの考え方
1.仕事の予定より先に、人生で大切にしたい時間を決める
本書から最も強く受け取ったのは、働き方を仕事だけで決めないという考え方です。
私の場合、仕事の予定を先に入れて、残った時間を家族や休息、自分の活動に使おうとしがちです。
しかし、この決め方では仕事が増えるたびに、仕事以外の時間が削られてしまいます。
本書で紹介される働き方は、その順序が反対です。
まず、自分はどのような人生を送りたいのか、何に時間を使いたいのかを決める。そのうえで、限られた勤務時間の中で仕事を終える方法を考えます。
つまり、退社時刻は「仕事が終わったら帰る時間」ではなく、「この時間までに仕事を終える」という制約になります。
制約があるからこそ、すべての仕事を引き受けるのではなく、優先順位をつける必要が生まれます。
早く帰ることは、仕事を軽視することではありません。
限られた時間で成果を出すために、仕事の選び方を厳しくすることだと感じました。
2.ミスの影響に応じて、確認方法を変える
私の仕事には、ダブルチェックが必要な場面が数多くあります。
特に安全性や品質、顧客への影響に関わる仕事では、複数人による確認を簡単に減らすべきではありません。
一方で、あらゆる仕事を同じ厳しさで確認していると、確認する側とされる側の双方に時間がかかります。
本書を読んで気づいたのは、「ダブルチェックをするか、しないか」の二択で考える必要はないということです。
判断の基準にしたいのは、ミスが起きたときの影響です。
たとえば、次のように分けられます。
- 安全・法令・品質に影響する仕事:複数人で確実に確認する
- 後から修正できる仕事:本人の確認を基本にする
- 軽微な社内資料:確認項目を限定する
- 繰り返し発生する仕事:チェックリストや仕組みでミスを防ぐ
重要なのは、確認を減らすこと自体ではありません。
仕事のリスクに合わせて、確認に使う時間を変えることです。
必要性を考えずに続けている確認を見直せば、本当に慎重に扱うべき仕事へ時間を使えるようになります。
3.会議を25分・50分にして、終了時刻を意識する
30分や60分で設定された会議は、予定された時間をすべて使いやすくなります。
議題が早く終わっても雑談が続いたり、結論が出ないまま同じ話を繰り返したりすることがあります。
そこで本書から取り入れたいのが、会議時間を25分または50分に設定する方法です。
中途半端な時間にすることで終了時刻が意識され、発言を簡潔にしやすくなります。
また、会議と会議の間に5分から10分の余白が生まれます。この時間を、次の会議の準備や移動、頭の切り替えに使えます。
ただし、時間を短く設定するだけでは、会議は効率化できません。
あわせて確認したいのは、次の3点です。
- 会議の目的と決めることが明確か
- その場で発言や判断をする人だけが参加しているか
- 会議を開かず、文章で共有できないか
25分という時間は、会議を短くするための目標ではなく、会議の目的を絞るための制約として使いたいと思います。
なお、会議の効率化については、『ドイツ人のすごい働き方』のBookNoteでも整理しています。
この本を読んで変わった仕事の見方
以前の私は、早く帰るためには自分の処理速度を上げる必要があると考えていました。
メールを速く返す。資料を速く作る。タスクを効率よく処理する。
もちろん、こうした工夫も必要です。
しかし、それだけでは「処理できる仕事の量」が増えるだけで、働く時間が短くなるとは限りません。
本書を読んでからは、仕事を始める前に次のような問いを持つようになりました。
- この仕事は、本当に必要なのか
- この確認は、ミスの影響に見合っているか
- この会議は、全員が参加する必要があるか
- 今日中に終える必要があるのか
- この仕事を受けることで、何の時間を失うのか
仕事を効率化するとは、同じ時間に多くの仕事を詰め込むことではありません。
成果に結びつく仕事へ時間を残すために、成果につながりにくい仕事を減らすことだと考えるようになりました。
今の自分から見た、この本の使いどころと限界
本書で紹介される働き方を、そのまま日本の職場へ持ち込めるとは限りません。
職種や役職、顧客との関係、職場の文化によっては、自分だけで会議時間や確認手順を変えられない場合があります。
特に私のような研究職では、安全や品質に関わる確認を「効率化」という理由だけで減らすことはできません。
また、「デンマークではこうしている」という事例が、すべてのデンマーク人や企業に当てはまるわけでもありません。
そのため、本書は具体的な方法をそのまま再現するマニュアルというより、現在の仕事を疑うための比較対象として使うのがよいと考えています。
たとえば、
- なぜこの確認は2人必要なのか
- なぜこの会議は60分なのか
- なぜ退社時刻より仕事の完了を優先しているのか
と問い直すきっかけにできます。
変更できない仕組みがあったとしても、その理由を確認することはできます。
その中から、自分で変えられる小さな部分を見つけることが、本書の現実的な使い方です。
Daquo Lab.で、この本をどう使うか
このBookNoteで扱った3つは、いずれも「仕事を時間内に終える」というDaquo Lab.のテーマにつながります。
ただし、3つを同時に試すと、どの工夫に効果があったのか分からなくなります。
まずは、次のように小さく試すのがよさそうです。
- 25分で終えられそうな会議を1つ選ぶ
- 日常的なダブルチェックをを洗い出し、必要な理由を確認する
- 退社時刻を先に決め、当日の仕事を減らせるか記録する
本書だけを根拠拠に新しいExperimentを必ず作る必要はありません。
「仕事が時間内に終わらない原因」を調べるExperimentの中で、会議、確認作業、仕事量などが原因として見つかった場合に、本書の考え方を改善案として使えます。
BookNoteは答えを決める記事ではなく、これから試す選択肢を保存しておく研究ノートとして位置づけます。
まとめ
『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』から、私が仕事に取り入れたいと感じたのは次の3つです。
- 仕事の予定より先に、人生で大切にしたい時間を決める
- ミスの影響に応じて、確認方法を変える
- 会議を25分・50分にして、終了時刻を意識する
本書から学んだのは、早く帰るための小手先の時間術ではありません。
働く時間に制約を設け、その中で成果を出すために、必要のない仕事を見直すという考え方です。
早く帰るために必要なのは、すべての仕事を速く終わらせることではなく、成果につながる仕事を選び、それ以外を減らすこと。
この記事で紹介した内容は、本書から得られる学びの一部です。気になった方は、ぜひご自身の仕事や生活と照らし合わせながら読んでみてください。
では、私は実際に重要な仕事へ時間を使えていたのでしょうか。仕事が時間内に終わらない原因を確かめるため、10日間の働き方を記録しました。


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