なぜ仕事は時間内に終わらない?10日間の記録から原因を探る|PRE-EXPERIMENT#01
仕事が終わらない。
それなりに一生懸命働いているつもりなのに、気づけば定時を過ぎています。
朝は「今日はこれを進めよう」と考えていたはずなのに、メールを返し、相談に答え、打ち合わせをしているうちに時間が過ぎていく。
夕方になって、
「今日、何をしていたんだろう?」
と思うことが何度もありました。
仕事の進め方を変えた方がいいのかもしれません。
でも、その前に一つ疑問がありました。
そもそも、自分の仕事が時間内に終わらない原因を分かっているのでしょうか?
時間術やタスク管理の本を読む前に、まずは自分の働き方そのものを調べてみることにしました。
今回のPRE-EXPERIMENTでは、10日間仕事を記録して、「なぜ仕事が時間内に終わらないのか?」を考えます。
今回調べること
今回のPRE-EXPERIMENTでは、
「なぜ仕事が時間内に終わらないのか?」
を調べます。
ただし、いきなり時間術やタスク管理の方法を試すことはしません。
同じ「仕事が終わらない」という状態でも、原因が違えば必要な方法も変わるはずだからです。
集中できないことが原因なら、集中する環境を作る方法が必要かもしれません。
予定の立て方が原因なら、スケジュール管理を変える必要があるかもしれません。
単純に仕事量が多すぎるのであれば、仕事術だけでは解決できない可能性もあります。
そこで、まずは普段どおりに仕事をしながら、
自分は何に、どれくらい時間を使っているのか。
どんな日に予定が崩れるのか。
どんな日に仕事が進んだと感じるのか。
を記録します。
そこから原因の候補を探し、次のExperimentにつなげます。
なぜPRE-EXPERIMENTから始めるのか?
「仕事を時間内に終わらせたい」と思ったとき、最初にやりたくなるのは仕事術を探すことです。
時間管理、タスク管理、集中法、メール術。
調べれば、たくさんの方法が見つかります。
でも、自分の仕事が終わらない原因と合っていなければ、方法だけ取り入れてもうまくいかないかもしれません。
たとえば、割り込みが原因なのにスケジュール管理を改善しても、期待した効果は得られないかもしれません。
反対に、スケジュールの組み方に問題があるのに、集中力を高める方法ばかり試しても根本的な改善にはならないかもしれません。
そこでDaquo Labでは、
課題を観測して、自分に必要な方法を選び、実験する。
という順番で進めます。
今回の10日間は、新しい仕事術を意図的には取り入れません。
普段どおり働きながら、
「何に時間を使っているのか」
「どんな日に仕事が進むのか」
「どんなときに予定が崩れるのか」
を記録します。
まず現在地を知り、その結果から最初に検証する課題を決めようと思います。
観測方法
平日の10日間、毎日の仕事について記録しました。
主な記録項目は次のとおりです。
- 実働時間
- 残業時間
- 重要な仕事に使った時間
- 業務別の時間
- 最長連続作業時間
- 突発業務
- 翌日への持ち越し
- 予定外の割り込み回数
- 仕事が進んだ感
- その日に気づいたこと
業務別の時間は、研究・実験、会議、メール・Teams、資料・報告、マネジメントなどに分けました。
また、毎日の終わりに、
「今日はどれくらい仕事が進んだと感じたか」
を「仕事が進んだ感」として記録しました。
評価は1〜5の5段階で、5が最も「今日は仕事が進んだ」と感じた状態です。
これは成果を客観的に評価したものではありません。
あくまで、その日の自分が仕事の進み具合をどう感じたかを残したものです。
10日間、仕事を記録してみた
10日間の記録を集計すると、次の結果になりました。
| 項目 | 10日間の結果 |
|---|---|
| 実働時間 | 7,105分(118時間25分) |
| 1日平均実働時間 | 710.5分(約11時間51分) |
| 残業時間 | 2,605分(43時間25分) |
| 1日平均残業時間 | 260.5分(約4時間21分) |
| 重要な仕事に使った時間 | 3,415分 |
| 重要業務比率 | 48.1% |
| 割り込み回数 | 44回 |
| 1日平均割り込み回数 | 4.4回 |
| 仕事が進んだ感 | 平均3.5 / 5 |
まず驚いたのは、仕事をしている時間そのものです。
平均実働時間は約11時間51分。
平均すると、毎日4時間以上残業していました。
「仕事が終わらない」と感じていただけではなく、実際にかなり長い時間働いています。
一方で、10日間のうち重要な仕事に使っていた時間は全体の48.1%でした。
長く働いているからといって、すべての時間を重要な仕事に使えているわけでもありません。
では、なぜこれだけ仕事時間が長くなっているのでしょうか。
一日ずつ記録を見直してみます。
記録する前に考えていた原因
記録を始める前に、特に気になっていたのが予定外の割り込みでした。
仕事をしている途中で相談を受けたり、別の仕事への対応を求められたりすると、それまで進めていた仕事を一度止めることになります。
そのため、
「割り込みが多く、まとまった作業時間を取れないから仕事が終わらないのでは?」
と考えていました。
ところが、実際の記録を見ると、それほど単純ではありませんでした。
たとえば2日目。
割り込みは11回あり、「仕事が進んだ感」は3でした。
一方、6日目は割り込みが2回まで減りましたが、「仕事が進んだ感」は同じ3。
さらに10日目は、割り込みが4回ありながら「仕事が進んだ感」は5でした。
| 日 | 割り込み回数 | 仕事が進んだ感 |
|---|---|---|
| 2日目 | 11回 | 3 / 5 |
| 6日目 | 2回 | 3 / 5 |
| 10日目 | 4回 | 5 / 5 |
もちろん、この比較だけで「割り込みは関係ない」と判断することはできません。
ただ、少なくとも今回の記録では、割り込みが少ないほど仕事が進んだと感じる、という単純な関係は見られませんでした。
もう一つ考えておきたいのが、割り込みの中身です。
相談対応によって自分の作業は止まります。
一方で、自分が回答することで、そこで止まっていたチームメンバーの仕事が動き始めることもあります。
自分だけを見れば「割り込み」でも、チーム全体では仕事を前に進めている可能性があります。
そのため、最初に考えていた、
「割り込みを減らせば仕事が終わる」
という仮説だけでは説明できなさそうです。
そこで、割り込み以外にも原因がないか、10日間の記録をもう一度見直してみました。
記録から見えてきたこと
① 予定した仕事が、予定した時間で終わらない
仕事を始める前に、「今日やること」はある程度決めています。
ただ、記録してみると、
「何時にやるのか」
「どれくらい時間を使うのか」
「いつまでに、どこまで進めるのか」
までは、十分に決めていないことがありました。
さらに、実際に仕事を始めると、想定していた以上に時間がかかることもあります。
一つの仕事が予定より長引けば、その後に予定していた仕事も少しずつ後ろへずれていきます。
つまり、「やること」は決めていても、時間軸を含めたスケジュールには曖昧さがあったのかもしれません。
ここには、スケジュールの立て方そのものに改善の余地がある可能性があります。
② 突発業務が入ると、予定していた仕事に上乗せされる
10日間の中には、予定外の仕事によってスケジュールが大きく崩れた日もありました。
たとえば7日目には、機械トラブルへの対応に約2時間かかりました。
仕事をしていれば、このような予定外の対応を完全になくすことはできません。
問題は、その2時間が追加されたことだけではありませんでした。
突発業務が発生しても、その日のうちに対応しなければならない仕事は残っています。
結果として、
予定していた仕事 + 突発的に発生した仕事
となり、その日に抱える仕事そのものが増えていました。
予定外の仕事をなくすことよりも、突発業務が発生したときにその日の仕事全体をどう組み直すかを考える必要があるのかもしれません。
③ 「仕事が進んだ感覚」と「成果につながる仕事」は同じではない
記録していて特に気になったのが、「仕事が進んだ感」です。
重要な仕事に長く取り組んだからといって、必ずしも「今日は仕事が進んだ」と感じるわけではありませんでした。
むしろ、重要度がそれほど高くなくても、メールを返したり、確認を終わらせたり、複数の案件を次の人へ渡したり。
多くの案件を処理して前に進められた日の方が、「仕事が進んだ」と感じやすいことに気づきました。
考えてみると、
「たくさんの仕事を処理できたこと」と、
「重要な仕事を前に進められたこと」は、
同じではありません。
さらに、自分は予定に対してどれくらい進められたかでも「仕事が進んだ」と判断しているようでした。
予定どおり進めば「今日は進んだ」と感じる。
予定より遅れれば「あまり進まなかった」と感じる。
だとすると、ここには別の問題もあります。
そもそも仕事にかかる時間を正確に予測できていなければ、同じ仕事量をこなしていても、最初に立てた予定によって「進んだ」「進まなかった」という評価が変わってしまう可能性があります。
「仕事が進んだ感」は、
処理できた仕事の量、予定に対する進み具合、仕事にかかる時間の予測精度
などに影響されているのかもしれません。
そのため、仕事の効率を「進んだ感」だけで評価するのは難しそうです。
どれだけ予定どおり進められたかだけでなく、その日に進めた仕事が中長期的な成果にどれだけつながるものだったのかも分けて考える必要がありそうです。
④ 中長期的に重要な仕事を、日々の仕事へ落とし込むのが難しい
記録を続ける中で、もう一つ気になったことがあります。
中長期的に達成したいことは分かっていても、
「では、今週どこまで進めればいいのか?」
が明確ではありませんでした。
長期で進める仕事は、一日で「完了」するものではありません。
そのため、一日単位で完了したタスクだけを見ていると、本当に重要な仕事がどれくらい進んでいるのか判断しにくくなります。
10日目には、「仕事が進んだ感」は5でした。
一方、中長期目標に対する進捗を振り返ると3でした。
一日の仕事にはかなり満足しているのに、中長期的な成果という視点では同じ評価になりません。
ここから、
中長期目標 → 週間 → 日々の仕事
をどうつなげるかも考える必要がありそうです。
⑤ そもそもの仕事量も無視できない
そして、10日間の平均実働時間は11時間51分でした。
平均残業時間は4時間21分です。
この数字を見る以上、そもそも抱えている仕事量が多い可能性を原因候補から外すことはできません。
どれだけスケジュールや仕事の進め方を改善しても、処理できる量を大きく超える仕事を抱えていれば、時間内には終わらないはずです。
ただ、この時点で「仕事量を減らせば解決する」と結論づけるつもりもありません。
今の業務環境の中で、仕事の進め方を変えることでどこまで改善できるのか。
それでも時間内に収まらないのであれば、業務量そのものを改めて考える必要があります。
現時点では、業務量も一つの原因候補として残しておきます。
原因を整理する
10日間の記録から、「仕事が時間内に終わらない理由」として、現時点では5つの可能性が見えてきました。
| 原因候補 | 10日間で気になったこと |
|---|---|
| スケジュール設計 | やることは決めていても、時間軸を含めたスケジュールには曖昧さがある |
| 優先順位の判断 | 多くの案件を処理することと、重要な仕事を進めることが必ずしも一致しない |
| 作業スピード | 一つの仕事が想定していたより長引くことがある |
| 仕事の持ち方・切り替え | 複数の仕事を並行して抱え、小さな仕事も頭に残りやすい |
| 業務量 | 平均実働11時間51分、平均残業4時間21分と、仕事時間そのものが長い |
10日間記録すれば、「これが原因だった」と一つに絞れると思っていました。
実際には、そうなりませんでした。
一つだけが原因なのではなく、複数の要因が重なっている可能性もあります。
そして、この10日間だけでは、どれがどの程度影響しているのかまでは分かりません。
ただ、記録する前と違うのは、
「仕事が終わらない」という漠然とした悩みが、検証できそうな5つの問いに変わったことです。
ここから、一つずつ試していきます。
最初に検証するPROJECT
最初に取り上げるのは、スケジュール設計です。
最初にこれを選んだのは、10日間を振り返ったとき、
「今日やる仕事」は考えていても、
いつやるのか。
どれくらい時間がかかるのか。
どこまでを今日の仕事として持つのか。
という時間軸を含めた設計には、まだ曖昧さがあると感じたからです。
また、突発業務が入ったときに、もともとの予定へそのまま仕事を追加していたことも、このテーマと関係しているかもしれません。
ただし、ここで「スケジュール設計が原因だった」と結論づけるわけではありません。
あくまで、10日間で見つかった原因候補の中から、最初に検証するテーマとして選びます。
そして、スケジュール設計について調べてみると、本によって提案されている方法も考え方も違います。
そこでPROJECT #01では、本から異なる方法を選び、実際の仕事で試して比較してみます。
一つの方法を試して終わりではありません。
実際に仕事で使ってみて、
何が変わったのか。
何が変わらなかったのか。
自分の仕事にはどこが合わなかったのか。
を記録します。
その結果を見ながら、別の方法も試します。
それでも仕事が時間内に終わらないのであれば、今回見つかった別の原因候補を調べる必要があるかもしれません。
課題を観測して、自分に必要な方法を選び、実験する。
Daquo Lab、最初のPROJECTを始めます。
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